耳管狭窄症とはどのような病気? 原因や治療方法を紹介

耳管とは、鼓膜の内側と鼻の奥をつないでいる3センチほどの短い管状の器官です。この器官を開けたり閉じたりすることで、内耳の中の圧力は調整されます。この耳管が、何らかの原因で閉じたままになってしまうのが、耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)という病気です。

今回は、耳管狭窄症になる原因や治療方法をご紹介します。

  1. 耳管狭窄症の基礎知識
  2. 耳が詰まった感じの怖さ
  3. 耳管狭窄症の治療方法
  4. 耳管狭窄症に関するよくある質問

この記事を読めば、病院を受診する目安なども分かるでしょう。最近耳の調子が悪いという方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

1.耳管狭窄症の基礎知識

はじめに、耳管狭窄症とはどのような病気かということをご紹介します。症状や原因はなんでしょうか?

1-1.耳管狭窄症とは?

耳管狭窄症とは、前述したように何らかの理由で耳管が閉じっぱなしになる病気です。こうなると、内耳の中と外側で圧力に差が生まれます。電車や車でトンネルに入った時や飛行機が離着陸する際、耳が詰まったような感じになったことがあるという方は多いことでしょう。耳管狭窄症はこの「耳が詰まったような感じ」がずっと続く病気です。人によっては、目まいや耳の奥の痛みといった症状が伴うこともあるでしょう。一般的に、耳が詰まったような不快な感じが1週間続いた場合は耳管狭窄症の可能性があります。

この状態でスキューバダイビングをしたり飛行機に乗ったりすると中耳に大きな負担がかかり、中耳炎を発症することもあるでしょう。

1-2.耳管狭窄症の原因は?

耳管狭窄症は、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などによる、耳管付近の粘膜の腫れによって起こります。鼻が詰まっていると耳も詰まる感じがすることも多いでしょう。鼻炎になると鼻水が出るだけでなく、鼻の粘膜も腫れます。特に、副鼻腔炎の場合は鼻の周辺にある副鼻腔というところに細菌が感染して炎症を起こす病気なので、粘膜も腫れやすいでしょう。耳管は細いものですから、粘膜が腫れると塞がれてしまいます。

また、鼻と喉の境にある上咽頭に位置するアデノイドという部位が腫れたり、大きすぎたりしても耳管狭窄症を発症することがあるのです。

アデノイドはリンパ組織の一種で、幼少期に活発に活動し、10歳を過ぎることには急速に小さくなります。このアデノイドが何らかの原因で腫れたり、生まれつき大きかったりすると粘膜の腫れと同じように耳管をふさいでしまうのです。アデノイドが原因の耳管狭窄症の場合は、アデノイドを切除することもあります。

1-3.耳管開放症との違いは?

耳管狭窄症が、耳管が閉じっぱなしになる病気なのに対し、耳管が開きっぱなしになる病気が耳管開放症です。こうなると、自分の声が内耳の中に反響して聞こえたり、呼吸音が大きく聞こえたりします。これも不快感が強い症状なので、日常生活に影響が出ることもあるでしょう。

2.耳が詰まった感じの怖さ

耳が詰まった感じというのは、耳管狭窄症だけでなく突発性難聴や滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)・メニエール病などを発症していても起こります。耳が詰まった感じというのは、前述したように中耳の内と外の気圧バランスが崩れることによって起こるのです。

何時間たっても耳が詰まった感じが抜けない場合は、中耳に何らかの異常が起きている可能性が高いでしょう。ですから、1日以上耳が詰まった感じが抜けない場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

3.耳管狭窄症の治療方法

この項では、耳管狭窄症の治療方法をご紹介します。どのような治療法があるのでしょうか?

3-1.診療する科と検査方法

耳管狭窄症は、耳鼻咽喉科で治療を行います。子どもの場合も、小児科ではなく耳鼻咽喉科を受診してください。小児科では治療ができません。耳管狭窄症の検査は、問診と鼻・耳の状態の確認・聴力検査・必要ならばCT検査を行います。その上で診断されるでしょう。

3-2.耳管狭窄症の治療方法

耳管狭窄症の治療方法は、鼻炎や副鼻腔炎の治療が中心になります。腫れの原因を取り除いてあげれば、自然と病状は改善するでしょう。アデノイド切除手術をすすめられる場合もあります。また、鼻炎の症状が改善しない場合は、鼓膜に穴をあけてチューブを通すことで、耳の詰まりを開放することもあるでしょう。完治までに時間がかかることも多いので、気長に治療を続けて行くことも大切です。

3-3.他の病気の場合もある

前述したように、耳が詰まった感じがする病気は他にもあります。耳管狭窄症だと思ったら、別の病気だったということもあるでしょう。特に、突発性難聴の場合は早めに治療をしないと聴力が回復しません。耳管狭窄症でないからと安心せず、医師の説明を聞き、適切な治療を受けてください。

3-4.副鼻腔炎は風邪から移行する場合も多い

耳管狭窄症の原因となる副鼻腔炎は、風邪から移行することも多い病気です。風邪が治ったのに鼻水がいつまでも止まらないという場合は、副鼻腔炎を疑った方がよいでしょう。副鼻腔炎が再発をくり返す場合は、手術で副鼻腔内の病巣を取り除くことをすすめられることもあるでしょう。子どもの場合は、風邪が原因で副鼻腔炎だけでなく中耳炎を発症することもあります。

鼻水は、ごくありふれた体の不調であり、放っておけば治ると思われがちです。しかし、2週間以上続く鼻水は副鼻腔炎の可能性があります。また、副鼻腔炎が自然治癒することはほとんどありません。耳管狭窄症を予防する意味でも、副鼻腔炎かな、と思ったら病院を受診してください。

4.耳管狭窄症に関するよくある質問

Q.耳管狭窄症を発症しやすい年代などはあるのでしょうか?
A.耳管狭窄症は、年齢や性別を問わずに発病します。女性のほうが若干患者数が多い傾向にあります。

Q.耳管狭窄症は子どもでも発症する病気でしょうか?
A.アデノイドが通常よりも大きな子どもや、副鼻腔炎が重症化した場合は発症することがあります。

Q.耳管狭窄症をすぐに治すことはできるのでしょうか?
A.そのような方法は、今のところありません。根気強く治療を続けましょう。

Q.耳管狭窄症を発症した場合は、飛行機に乗れなくなりますか?
A.乗れなくなることはありませんが、長時間のフライトは避けた方が無難です。スキューバダイビングは治るまでやめておきましょう。

Q.自覚症状なく耳管狭窄症が発症することはありますか?
A.人によってはあるでしょう。子どもの場合は、風邪をひいたら小児科と共に耳鼻咽喉科を受診し、耳の中の様子を見てもらうといいですね。

おわりに

今回は、耳管経狭窄症の原因や治療方法などをご紹介しました。耳が詰まった感じというのはなかなか説明するのが難しい症状ですが、耳に違和感を覚えたら、できるだけ早く病院を受診しましょう。また、鼻水が長期間続いた場合も同様です。鼻炎は一度発症すると治るまでに時間がかかるので、早めの治療が大切になります。

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