PTSD(心的外傷後ストレス障害)

PTSDを克服したい人必見!
症状や原因・適切な対処法は?

過去のトラウマがフラッシュバックしてしまい苦しんでいる…このような症状がある場合、PTSD(心的外傷後ストレス障害)である可能性が高いでしょう。パニック障害などと併発することの多いPTSD。今以上に症状が悪化する前に、一刻も早く対処する必要があるでしょう。そこで、今回はPTSDの原因や症状、治療方法について解説します。不安な毎日を送っている方、必見です。

この記事を読んで、PTSDを克服するきっかけをつかんでください。

01. 01. PTSDとはどんな病気?

PTSDとはどのような病気なのでしょうか。主な症状や原因、なりやすい人の特徴などをまとめました。

1-1.PTSDには過去のトラウマが関係している!

PTSDには、トラウマ体験による心的要因が大きく関係しています。肉体的・精神的に強いショックを受けて、心に深い傷が残るのが「トラウマ」です。具体的には、自然災害や交通事故、性的暴行、虐待、DVなどが当てはまります。トラウマ体験の直後は落ち着いているため、一見何事もなかったように感じるでしょう。しかし、数時間後もしくは数日後に、突然当時の記憶や感覚がよみがえることがあります。以下のような症状が続くときは、PTSDである可能性が高いでしょう。

  • トラウマ体験の感覚がよみがえり、フラッシュバックする
  • トラウマを体験した当時の記憶を失う
  • 意欲の低下や孤独感が強くなる
  • 感情や感覚が鈍くなる
  • なかなか眠れない、熟睡できない
  • イライラしたり怒りっぽくなったりする
  • 警戒心が強くなる

つまり、PTSDにはトラウマ体験による心的要因が大きく関係しているのです。

1-2.「心の強い人」ほどなりやすい

PTSDやパニック障害のような心の病は、意外なことに「心の強い人」ほどなりやすいものです。たとえばひどいトラウマを抱えてしまっても、人に頼らず自分で解決しようとした結果、後になって心の傷となって発症してしまいます。

  • 自分の悩みや弱さを人に見せない人
  • 明るく前向きに考える人
  • 自立心が強く人に頼らない人
  • 基本的に真面目な性格の人
  • 完全主義的な性格の人
  • 自分が弱いことが許せない人

以上のような性格を持つ人は、より注意が必要です。

1-3.決して珍しい病気ではない

PTSDやパニック障害などの精神疾患を抱えている患者数は、年々増加しています。特にPTSDは精神障害で治療を受けている人の中でも比較的多い病気です。生涯罹患(りかん)率は男性で5%、女性で10%。日本では、1995年に起こった阪神淡路大震災後に、PTSDの発症率が急増しました。

1-4.こんな有名人もPTSDだった!

「実はPTSDを患っていた」と言われている有名人もいるのです。元AKBの一員として人気が高かった川栄李奈さんもその1人。2014年に起きた握手会傷害事件をきっかけに、精神的に深い傷を負ってしまいました。その後は握手会への参加をしないまま、2015年にグループを脱退したのです。

また、フリーアナウンサーとして活躍する丸岡いずみさんもPTSDだったと言われています。発病のきっかけとなったのは、東日本大震災の取材。現地の変わり果てた姿を見て、心に大きなダメージを折ってしまったのでしょう。PTSDからうつ病を発症し、4年間も闘病生活を続けたのです。現在は無事回復し、PTSDへの理解を深めるために本を出版しています。

02. 02. PTSDのチェック方法は?

自分がPTSDであることに気づかず、治療を受けていない人も多いでしょう。PTSDかどうかを自分でチェックする方法をご紹介します。

2-1.セルフチェックしてみよう!

PTSDの診断基準として簡易的なチェックシートをご紹介します。以下の項目に当てはまるものがないかチェックしてみてください。

  • 恐ろしいできごとが再び起こるような気がし、子の気持ちは何の予兆もなく起こる。
  • 恐ろしいできごとを激しく怖がる記憶があり、悪夢を見ることがある。
  • 恐ろしいできごとを思い出すような場所は避ける。
  • 何か突然のことに対して、過度に驚いたり怒ったりする。
  • 人を信用できずに、打ち解けられない。
  • 他人が死んだ一方、自分が生きていることに引け目を感じる。
  • 夜眠れない。
  • 筋肉が緊張して硬直する。

一つでも当てはまる項目があり、その状態が1か月以上続くようであれば、PTSDである可能性が高いでしょう。

2-2.似ているけれど違う「パニック障害」

PTSDと似たような症状があっても、別の病気である可能性も考えられます。最も間違われやすいのがパニック障害です。確かに、つらい体験をした場所を避けるという共通点があることから、誤診されることも多いでしょう。しかし、パニック障害には、発作が起きる背景に過去のトラウマ体験は関係しておらず、フラッシュバックの症状が現れることもありません。その点が、PTSDとパニック障害を見分ける決め手になるでしょう。

03. 03. PTSDは日常生活にこんな影響を与える!

PTSDを抱えてしまうと、日常生活にどのような影響を与えることになるのでしょうか。また、治療せずに放置するとどうなってしまうのか気になりますよね。

3-1.日常生活に対する現実感がなくなる

PTSDの症状により、日常生活に現実感がなくなるなどの解離症状が現れることもあります。こうなると、生き生きと生活を送ることができなくなってしまうでしょう。人生の中で、積極的にチャレンジしたり楽しんだりすることが難しくなります。また、不眠や体調不良が長く続き、集中力がなくなってうつ状態に陥ってしまう人も。「自分はダメな人間だ」と思い込み、自己卑下するようになると、進学や就職・結婚などにも影響してしまうでしょう。

3-2.放置すると併発症を引き起こすことも

PTSDを放置したり治療が遅れたりすると、多くの併発症を引き起こすこともあります。実際に、PTSD患者の約80%は、重度の精神疾患を併発しているのです。その多くがうつ病であり、自殺のリスクが高まるという危険もあります。症状によっては、入院治療が必要になることもあるでしょう。また、PTSD患者はアルコール乱用依存症になりやすいため注意が必要です。不安やイライラを紛らわせるために飲酒を行い、次第にその量が増えていってしまうパターンが多くあります。

04. 04. PTSDの治療方法と薬の種類

PTSDの治療方法にはどのようなものがあるのでしょうか? 使用する薬の種類や副作用についても解説します。

4-1.診断の目安は?

PTSDを診断する目安として「フラッシュバック」「回避」「過覚醒」の三つの症状があります。こういった症状が1か月以上続く場合はPTSDの可能性が高く、1か月を満たない場合は「急性ストレス障害」と診断されるでしょう。

4-2.心と身体の症状に合わせた治療法

PTSDは、数か月程度で自然に回復する場合もあります。しかし、症状が重症化したり、数か月たっても続いたりする場合は、専門的な治療が必要です。

4-2-1.認知行動療法

トラウマに焦点を当てた治療法であり「認知処理療法」と「持続エクスポージャー療法」があります。心に深い傷を受けると、その体験を思い出したり考えたりすることを避けるようになるでしょう。認知処理療法ではこうした考え方を見直して、別の視点で物事を見ることができるよう適切に導きます。一方の持続エクスポージャー療法では、安全な環境の中でトラウマ体験の記憶を思い出し、その恐怖に慣れて乗り越えられることを学習する治療法です。

4-2-2.グループ療法

同じような体験をした人たちがグループになり、PTSDの原因となった体験について語り合う形で行われます。「自分だけが悩んでいるのではない」というように、前向きにとらえることができるようになるでしょう。

4-2-3.薬物療法

薬物療法が行われるのは、眠れない・不安が強い・うつ状態が続く・自殺を考えるなどの症状がある場合だけです。抗うつ薬や抗不安薬・気分安定薬など、さまざまな薬が処方されます。最も多く使用するSSRIという抗うつ薬は、ほかのものと比べて副作用は少ないものの、まれに不眠や興奮、胃腸症状などが現れることもあるでしょう。また、過覚醒の状態を軽減する「カルパマゼピン」「バルプロ酸」などの気分安定薬は、大きな副作用を伴います。

4-3.漢方薬を使用することも

漢方薬は効果が現れるまでに時間がかかる分、副作用が少ないのが特徴です。そのため、PTSDの治療に使用されることもあります。よく使用する漢方薬は「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」や「加味逍遥散(かみしょうようさん)」などです。

4-4.治療にかかる費用はどのくらい?

PTSDで精神科にかかるときの医療費は、ほかの科に比べて特別高いというわけではありません。一般的に初心の際にかかる費用は、診療費と薬代を合わせて1万円前後といったところでしょう。2回目以降は、初診のときより薬の処方量が増えることが多いため、その分薬代はかかります。しかし、初診料はかからないため、合計の支払金額は少し安くなるでしょう。

05. 05. PTSDを予防するためのポイント

PTSDになりやすい人は、予防するために普段から気をつけておくべきポイントがあります。すでにPTSDを抱えてしまっている人も、症状の悪化を防ぐために実践してみてください。

5-1.自分を責めない

PTSDでは、被害に遭ったことなどについて、自分を責めているケースが非常に多く見られます。自分を責めることでPTSDを発症したり症状の悪化を招いたりすることもあるでしょう。なるべく自分を責めないように心がけることが大切です。

5-2.生活習慣を整える

ショックを受けるできごとがあっても、できるだけ普段どおりの生活に戻れるよう努力してください。具体的には、睡眠のリズムを整える、バランスのとれた食生活を心がける、適度な運動を取り入れるなどの方法が、PTSDの予防につながります。また、そういうときこそ、お酒やカフェイン、タバコの過剰摂取は避けるようにしましょう。

5-3.孤立しない

トラウマ体験の内容によっては、人に話すこと自体が苦痛になることもあるでしょう。しかし、人間関係を閉ざし、孤立してしまうのは危険です。PTSDの発症や悪化を招いてしまう可能性があるでしょう。1人で悩まず、信頼できる家族や友人に助けを求めてください。そして、休日などはなるべく一緒に過ごすよう心がけましょう。

06. 06. PTSDの治療を行っている病院の紹介

PTSDの治療を行っている病院をいくつか紹介します。

東京都立 松沢病院
「都民のための精神医療センター」としての役割を果たしている病院です。PTSDをはじめとする精神疾患および身体疾患の治療を行っています。

医療法人青峰会 くじらホスピタル
PTSD・うつ・摂食障害・人格障害・依存症などの入院治療を専門に行う唯一の一般病院です。患者1人1人の症状に合わせた入院プログラムを設定しています。

もも こころの診療所
東京都千代田区にある診療所です。薬物療法は極力行わず、主にカウンセリングに力を入れています。

07. 07. PTSDを支援する「自立支援医療制度」とは?

簡単に言うと、医療費の自己負担額を軽くする制度です。対象になる精神疾患には、PTSDやうつ病・統合失調症・パニック障害・アルコール依存症などがあります。この制度を利用すると、医療費の負担額が1割で済むのです。1か月に支払うお金の上限も決まっており、負担額は所得の上限によって異なります。手続きの流れとしては、まずは主治医に相談し診断書を書いてもらってください。健康保険証のコピーや所得が確認できる資料などをそろえ、市町村の担当窓口で申請しましょう。申請がとおると受給者証が郵送で届くので、病院や薬局に提示してください。お金の心配ばかりしていると心が休まりません。この制度を利用して、安心を手に入れましょう。

08. 08. PTSDの関連書籍紹介

PTSDに関する書籍を紹介します。

PTSDとトラウマのすべてがわかる本
PTSDとトラウマの基礎知識が、イラストや図を用いてわかりやすく解説されています。自分の理解が正しいかどうか確認しながら読みすすめることができるでしょう。

対人関係療法でなおす トラウマ・PTSD
トラウマ症状と対人関係の層が作用に注目し、現在の対人関係に焦点を当ててPTSDを治療する方法がまとめられた1冊です。

PTSD 人は傷つくとどうなるか
PTSDの仕組みから症例、治療法までがわかりやすく解説された1冊です。

09. 08. PTSD治療体験ブログの紹介

PTSDの治療を行っている人たちの体験ブログを紹介しています。

私のPD日記
パニック障害やうつ病、PTSDを抱えた筆者が、臨床心理士との心理面接を受ける経過をつづっています。不安定な心の動きに注目です。

PTSDからゆるく回復過程の日々
PTSDから回復していく毎日をつづったブログです。すすんだり後退したりを繰り返しながら、過去のトラウマやカウンセリングのことをまとめています。

命輝け~私の歩み~
先天性の難病とPTSDを抱えた筆者が、1日1日を大切に生きている様子をつづったブログです。

10. まとめ

いかがでしたか? この記事では、PTSDの症状や治療方法、予防のポイントなどを解説しました。過去のつらい体験からPTSDを発症し、現在も苦しんでいる人はたくさんいるでしょう。PTSDはきちんとした治療を受けることで回復に向かうことが十分に可能な病気です。できるだけ早く専門機関を受診し、自分に合った治療法を見つけてください。

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