帯状疱疹

帯状疱疹の初期症状・原因は?
治療・予防のポイントを徹底解説!

帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、痛みを伴う皮膚病の一つです。これまでは50代以上に多い病気と言われていましたが、近年は20〜30歳代の若い世代にも増えています。治療が遅れるほど治りも遅くなるため、症状に気付いたらできるだけ早く対処することが大切です。そこで、この記事では、帯状疱疹の原因や症状・治療方法などを解説します。

この記事を読むことで、帯状疱疹の正しい対処方法がわかるでしょう。

01. 帯状疱疹という病気について

帯状疱疹の症状や原因にはどのようなものがあるのでしょうか?

1-1.原因は水ぼうそうと同じウイルス

帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスによって起こる病気です。水ぼうそうは通常子供のころにかかる病気で、水ぶくれが多発した後に破れてかさぶたとなり、約3週間かけて治ります。しかし、その後もウイルスは体内の神経節に滞在し続け、水ぼうそうが治った後も、完全に体内から消滅することはありません。そして、人によっては何十年もたった後で突然このウイルスが復活して帯状疱疹になるのです。

1-2.復活のきっかけは?

体内に潜んでいたウイルスが復活するきっかけとしては、いくつかの原因が考えられます。たとえば、大きなストレスを感じたときや過労・免疫力が低下したときなどです。また、病気や手術・免疫抑制剤を使用したときなども、帯状疱疹が現れることがあります。

1-3.初期症状はチクチクした痛みから

体内の神経節に潜んでいたウイルスは、神経を伝わって皮膚に到達し発症します。初期症状は、発疹の出る数日前から体の一部にチクチクとした痛みを感じ始めるなどです。この時点では、患部を見てもまだ発疹は出ていないため、帯状疱疹であると断定することはできません。しかし、数日たつとこの部分に特徴的な発疹が現れ、痛みが増してきます。痛みは次第に激痛に変わり、やがて発疹が帯状にはっきりと現れるのです。

1-4.症状の進み方

発疹の悪化とともに、発熱やリンパ節の腫れ・頭痛といったほかの症状が出てくる場合もあります。発疹は次第に水ぶくれのようになり、徐々に拡大するのです。そして、6~8日で破れてびらん・潰瘍になります。その後は治癒方向に向かい、約2週間でかさぶたになり、約3週間でかさぶたがはがれて完治するでしょう。

1-5.帯状疱疹になりやすいのはこんな人!

同じように子供のころ水ぼうそうを経験していても、帯状疱疹になる人とならない人がいます。その違いは一体何なのでしょうか? 以下のような人は帯状疱疹になりやすいため、注意が必要です。

  • 仕事や子育てで疲れがたまっている人.。
  • 過剰なストレスや病気により、免疫力が低下している人。
  • 高齢の人。

特に50代くらいになると、体力が低下してきます。体力の低下は帯状疱疹になりやすくなる原因です。加齢を避けることはできません。しかし、規則正しい食生活や適度な運動を心がけ、体力を維持することで予防することはできます。

1-6.患者数は増加傾向にある

日本では、毎年1,000人に約5人の人が帯状疱疹にかかると言われています。中でも多いのが60代以上の女性患者です。次に、10~20代も患者が増加します。これは、幼児期に水ぼうそうにかかり免疫細胞は増えたものの、10~20代になるとほとんど減少することが原因でしょう。ただ、水ぼうそうの子供と接触する機会の多い保育士などの職業の人は、帯状疱疹の発症率が低いことも分かっています。水ぼうそうの子供と接触することで、追加免疫効果が得られるためです。

02. 帯状疱疹を自分でチェックするには?

帯状疱疹は初期の段階では症状に気づきにくいため、治療が遅れるケースが非常に多くなっています。症状を自分で見極めるためには、一体どうしたらよいのでしょうか?

2-1.帯状疱疹のセルフチェック

帯状疱疹は虫さされなどと見分けがつきにくいため、早期治療のためにも早目に症状を見極めることが大切です。まずは、以下の項目をチェックしてみてください。

  • ブツブツの中に水ぶくれも交じっている。
  • 体の右半身、または左半身だけブツブツがある。
  • 赤み・ブツブツ・水ぶくれが帯のように連なっている。
  • 赤み・ブツブツ・水ぶくれができる前に痛みがあった。
  • 痛みは皮膚の症状が出た場所と同じところだった。
  • 体の右半身、または左半身だけに痛みを感じる。
  • ピリピリ・チクチクと神経を刺激されるような痛みがある。

上記のような症状に当てはまる場合は、すぐに皮膚科を受診しましょう。

2-2.帯状疱疹と似た病気もある!

自分の病気について「帯状疱疹である」とすぐに認識する患者さんは少ないでしょう。その理由は、帯状疱疹と似た症状の病気が、ほかにもいくつかあるためです。たとえば、虫さされやかぶれ・神経痛などは、帯状疱疹と間違えやすい症状と言えます。そのほかにも「帯状疱疹だと思っていたら単純ヘルペスだった」ということも少なくありません。帯状疱疹は1回かかれば一生再発することはありませんが、単純ヘルペスは何度も再発することがあります。

03. 帯状疱疹が日常生活に及ぼす影響

帯状疱疹になると日常生活にどのような影響を及ぼすことになるのでしょうか?

3-1.痛みが強い場合も

帯状疱疹の症状には個人差があり、患部に衣類が触れる程度の軽い刺激でも強い痛みを感じることがあります。酷くなると痛みが強くて眠れないなど日常生活に大きな影響を与えることもあるのです。顔に発生した場合は難聴や頑迷神経マヒなどが起きる可能性もあるため、重症化しないように注意する必要があります。

3-2.放置すると後遺症が!

帯状疱疹は水ぼうそうと違い、1週間ほど放置しただけでは治りません。多くの場合、完治まで3週間から1か月ほどの期間が必要です。中には、後遺症として痛みがずっと続くこともあります。その理由は、帯状疱疹の初期時にウイルスが急速に脊髄神経の中で増殖した結果、神経細胞が破壊されてしまうためです。放置しておくと10年以上痛みが続くこともあるため、できるだけ早期に治療が必要になります。

04. 帯状疱疹の治療方法とは?

では、帯状疱疹を治療するためにはどのような方法があるのでしょうか? 薬の種類についてもご紹介します。

4-1.診断は主に「問診」と「視診」

帯状疱疹が疑われる場合は、皮膚科を受診します。診断は問診と視診で済む場合がほとんどです。ただし、水疱を採取して、顕微鏡でウイルス感染細胞の変化を調べることもあります。

4-2.薬物治療

帯状疱疹の治療では薬物治療が行われることになります。薬の種類は、以下のようなものです。

4-2-1.抗ウイルス薬

帯状疱疹は、水疱・帯状疱疹ウイルスが原因です。そのため、ウイルスの増殖を防ぎ、神経の炎症を抑えるために抗ウイルス薬が処方されます。発疹などの症状が現れてから早期に使用することで、後遺症の予防にも効果的です。

4-2-2.抗炎症薬

水疱・帯状疱疹ウイルスが増えたことによって起こる痛みを防ぐための薬です。炎症を鎮める効果があるため、痛みが落ち着きます。

4-2-3.抗生物質

発疹が水ぶくれになると、細菌感染を招きやすくなります。こうした感染を防ぐために処方されるのが抗生物質です。

4-3.自宅でもセルフケアを!

皮膚科での治療を行いながら日常生活でもセルフケアをすることで、症状緩和につながります。自宅でできるセルフケアを紹介しましょう。

4-3-1.体を温める

痛みが強い場合は、体を温めて血行をよくしましょう。湯たんぽやカイロを使って患部を温めることで痛みが和らぎます。また、入浴も全身の血流がよくなるためおすすめです。ただし、入浴は医師のOKが出てからにしてください。

4-3-2.清潔にする

患部を清潔に保つようにします。炎症が起きているときは、湯船につかることは避けてシャワーで体を洗い流してください。石けんが肌の刺激にならないように、やさしく洗うようにしましょう。

4-3-3.ストレスをためない

帯状疱疹は精神的ストレスや過労によって悪化します。症状がひどいときは、できるだけ無理をせず体を休めるようにしてください。無理をしないことが、治療期間の短縮につながります。ストレス解消には、休養や運動・趣味を楽しむことなどがおすすめです。

4-4.漢方薬も治療に役立つ!

帯状疱疹の治療には、補助的に漢方薬を使用することで治りが早くなることもあります。初期の炎症や痛み・症状が続くことによる精神不安などに効果的です。また、帯状疱疹は体力の低下によって起こることもあるため、痛みが引いた後も体力を高める漢方薬を服用することをおすすめします。帯状疱疹によく使う漢方薬は「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」や「五苓散(ごれいさん)」「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」などです。

05. 帯状疱疹を予防しよう!

普段から帯状疱疹を予防するためにはどうしたらよいのでしょうか? 予防のポイントをご紹介します。

5-1.規則正しい生活で免疫力を高める

帯状疱疹は過労やストレスなどで体の免疫力が低下したときに発症しやすくなります。そのため、普段から規則正しい生活を送ることが予防の第一ポイントです。睡眠時間をたっぷりとり、疲れをためないように心がけましょう。また、栄養バランスのよい食事をとることも大切です。疲労がたまっていると感じるときこそ、こういった生活を意識してください。

5-2.ワクチンで予防することも!

30年前に日本で開発された「水ぼうそうワクチン」は、帯状疱疹の予防効果もあることが確認されています。近年では、50歳以上の帯状疱疹を予防する目的での利用も検討されているということです。ただし、日本では保険適用されていないため、自費扱いで1万円前後の費用がかかってしまいます。しかし、予防目的で接種しておくと安心です。

06. 帯状疱疹の治療を行っている病院の紹介

帯状疱疹の治療を行っている病院をいくつかご紹介しましょう。帯状疱疹は基本的に皮膚科で診てもらうことができます。

明治通りクリニック

http://meijidori-clinic.com/herpes/

清潔と安らぎの空間を提供するアットホームなクリニックです。19時まで診察を行っているため、仕事で忙しい人も安心して利用できます。

NTT東日本 関東病院

https://www.ntt-east.co.jp/kmc/guide/painclinic/05.html

NTT東日本の直営病院です。帯状疱疹後神経痛を防止し合併症を起こさないために、薬物療法と神経ブロックを同時に行っています。

すみれ皮膚科クリニック

http://www.sumire-clinic.com/topics_03.html

大学病院や総合病院で得た最先端の技術・知識を生かして開業した皮膚科クリニックです。分かりやすい説明と親切な対応を心がけています。

07. 帯状疱疹の関連書籍紹介

帯状疱疹にかんする書籍をご紹介します。

帯状疱疹の痛みをとる本

http://www.amazon.co.jp/帯状疱疹の痛みをとる本…本田-まりこ/product…/4062598019

帯状疱疹の痛みの原因と対策がわかる1冊です。ベストな治療法から生活上の注意点まで徹底解説!

帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛

http://www.amazon.co.jp/帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛-宮崎-東洋/dp/4832702416

帯状疱疹の回復を早め、帯状疱疹後神経痛への移行を防ぐための効果的な治療法と病気の仕組みがわかりやすく解説されています。

帯状疱疹・単純ヘルペスがわかる本

http://www.amazon.co.jp/新版-帯状疱疹・単純ヘルペスがわかる本-本田…/4865130063

身近な皮膚疾患の特徴を解き明かし、正しい治療と予防方法・セルフケアの方法が紹介されています。

08. よくある質問

帯状疱疹に悩む人が感じるであろう疑問とその回答をまとめてみました。

Q.帯状疱疹が人に感染することはありますか?

A.帯状疱疹が人に感染することはほとんどありません。ただし、水ぶくれの中には原因となるウイルスがいるため、水ぼうそうにかかったことがない人にはうつる可能性があるでしょう。この場合、帯状疱疹の症状ではなく、水ぼうそうと同じ症状が出ます。

Q.病院に行かなくても治る場合はありますか?

A.帯状疱疹は放っておいても3~4週間で自然治癒します。ただし、自然治癒で治す場合は「帯状疱疹後神経痛」という後遺症を引き起こすため、やはり専門医にかかってしっかり治療するのがおすすめです。

Q.どの程度の通院が必要ですか?

A.通院については、痛みによって頻度や期間が変わります。痛みがほとんどない患者さんの場合は、2回ほどの通院で完治するでしょう。痛みが強い場合は数年通院が必要なケースもあります。

まとめ

いかがでしたか? 帯状疱疹の原因や症状・治療法などをまとめて解説しました。帯状疱疹は、過去に水ぼうそうにかかった人なら誰にでも発症する可能性のある病気です。後遺症を残さないためにも、早めに症状に気づき、適切な治療を受けましょう。

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