乳癌

乳癌で悩む人のために!
治療の進め方や予防のポイントを紹介!

女性なら誰でも気になる乳癌という病気。食生活の欧米化がすすんだ今、日本人の乳癌患者は急増しています。乳癌は早期発見・治療をすることで完治しやすい病気です。そして、自分で見つけることができる癌であるということを忘れてはいけません。この記事では、乳癌の症状や原因・予防方法などを解説しましょう。乳癌でお悩みの方、必見です。

この記事を読めば、乳癌とどう向き合っていくべきかが分かります。

乳癌とは?

乳癌と向き合うためには、病気について知る必要があります。症状や原因・どんな人がなりやすいのかなどを解説しましょう。

1-1.乳癌の初期症状は?

乳癌は初期の自覚症状が分かりにくいのが特徴です。以下のような症状に気づいたときには注意が必要となります。

  • 乳房やわきの下にしこりがある。
  • 乳房にひきつれやくぼみがある。
  • 湿疹やただれ・分泌物など乳頭の異常がある。
  • 乳房の膨大感がある。

この場合のしこりは硬い消しゴムのような感触なのが特徴です。初期には痛みもなく、体調不良や食欲不振といった変化もあまりありません。

1-2.乳癌を招く三つの原因

乳癌を招く要因として大きく関与しているのが「エストロゲン」という女性ホルモンの一種です。近年、このホルモンが過剰に分泌されることで乳癌の発症リスクが上昇することが分かってきました。エストロゲンが関与すると考えられる乳癌の原因は主に以下の三つです。

1-2-1.肥満

食生活の欧米化に伴い、高脂肪・高たんぱく質の食事を中心とする人が急増しています。こういった食生活はホルモンバランスを崩す原因です。特に、脂肪細胞はエストロゲンを増やす原因となるため、肥満の人はエストロゲンレベルが高くなります。近年、国立がん研究センターによる研究で、肥満の女性は乳癌の発症リスクが高いということが判明しました。

1-2-2.出産経験の有無

出産経験がない女性は、出産経験がある女性に比べて乳癌の発症リスクが高くなります。出産の経験がないと、妊娠中に多量分泌されるプロゲステロンが相対的に減少し、エストロゲンにさらされる期間が長くなってしまうのです。また、初産年齢が低いほど乳癌のリスクは低くなることも分かっています。

1-2-3.授乳経験の有無

授乳経験のある女性に比べ、経験のない女性は乳癌の発症リスクが高くなることが分かっています。また、授乳期間が長くなるほど乳癌のリスクは低下する傾向にあるということです。

1-3.乳癌になりやすいのはどんな人?

乳癌になりやすい人には、以下のような特徴があります。

  • 初潮が早い(特に11歳以下)。
  • 閉経が遅い(特に55歳以上)。
  • 母や姉妹に乳癌になった人がいる。
  • 出産していない。
  • 授乳したことがない。
  • 30歳を過ぎてから初めて出産した。
  • 閉経後、肥満になった。

特にリスクが高いと言われているのが、遺伝的要因です。母や姉妹に乳癌を経験している人がいる場合、乳癌リスクは2倍以上になることが分かっています。

1-4.毎年5~6万人が乳癌に

厚生労働省の調査によると、現在は毎年5~6万人が乳癌にかかり、1万人程度が乳癌で亡くなっているとのことです。乳癌は30代後半から増え始め、40代後半~50代前半がピークとなります。しかし、日本における乳癌検診の受診率は20%程度で、日本よりも乳癌患者数が多い欧米と比べれば、はるかに低い数値です。乳癌は早期のうちに発見・治療ができれば死亡率を下げることができます。初期の段階で見逃さないためにも、定期的に検診を受けることが重要です。

乳癌をチェックするには?

乳癌は体の表面近くに発生するため、自分で観察したり触れたりすることによって発見できる可能性が高い癌です。実際に、乳癌の60%以上はセルフチェックによって発見されています。

2-1.乳癌のセルフチェック方法

以下を参考にして、自分でチェックしてみましょう。

  • 乳房の変形や左右差はないか。
  • しこりやひきつれはないか。
  • えくぼのようなへこみはないか。
  • ただれはないか。
  • 出血や異常な分泌物はないか。

小さな変化に気づくためにも、普段から乳房の状態を確認することが大切です。毎月1回はチェックするように習慣化しましょう。

2-2.乳癌の症状とよく似た病気は多い

乳癌の初期症状は乳房のしこりや分泌物などです。同じような症状が出る病気はほかにもあるため、覚えておくとよいでしょう。最も間違えやすいのが乳腺症です。女性ホルモンのバランスが乱れることが原因で起こり、乳房の痛みやしこりなどの症状が現れます。月経前に症状が強くなり、月経が終わると症状が和らいでいくのが特徴です。そのほかにも、乳腺炎や線維腺腫・葉状腫瘍など、乳癌に似た病気はたくさんあります。

乳癌の治療方法を紹介

乳癌の治療方法にはどのようなものがあるのでしょうか。診断方法や薬の種類などもご紹介します。

3-1.いくつかの検査を組み合わせて総合的に判断

乳癌と診断されるまでの検査はいくつかあります。そして、いくつかの検査を組み合わせて総合的に判断することになるでしょう。

3-1-1.しこり・石灰化の有無を確認する

乳癌検診は、主に視診と触診です。その後、マンモグラフィあるいは超音波検査が行われ、その検査結果をもとに受診することになります。このとき、検診でのチェックと受診での見方が多少異なることもあるため、マンモグラフィや超音波検査はもう1回行われることもあるのです。

3-1-2.乳管を調べる検査

乳頭から分泌物が出ている場合は、分泌物がとおってくる乳管を調べます。乳管内乳頭腫と乳癌との診断をつけるのに有効です。乳管を調べる方法としては、乳管造影検査と乳管内視鏡検査があります。

3-1-3.癌細胞の有無を調べる検査

乳癌であるかどうかを確定するための診断検査で、細胞を顕微鏡で見て確認します。画像検査と細胞診検査の結果が一致すれば、乳癌と確定されることになるのです。その後、治療方針が立てられ、治療が開始となります。

3-2.治療方法は「手術」「放射線療法」「薬物療法」の三つ

乳癌の治療には、手術・放射線治療・薬物療法の三つがあります。

3-2-1.手術

乳癌治療の基本は手術となります。ステージⅠ期~Ⅲ期の場合は、必ず手術が必要です。手術では、乳房にできた『癌』と『癌細胞を含めた周りの正常組織』を同時に切除します。乳癌の手術では、乳房・胸筋・リンパ節それぞれを「どの程度切除するか?」「温存するのか?」によって方法は変わるでしょう。手術方法や切除する範囲などは、癌がどこまで広がっているかによって異なります。

3-2-2.放射線治療

放射線治療とは、放射線照射を行った部分だけに効果を発揮する局所療法のことを言います。手術で癌を取り除いた後、乳房やその領域にがんが再発することを防ぐのが目的です。また、骨の痛みなど転移した病巣による症状を緩和するために行う場合もあります。放射線を照射範囲や量については、病巣のある場所や病変の広さなどによってさまざまです。

3-2-3.薬物療法

薬物療法は癌細胞の根絶することが目的です。しかし、正常な細胞が影響を受けることによって、全身にさまざまな副作用が現れます。乳癌の治療に使用される抗がん剤にはたくさんの種類があり、1種類だけで治療することはほとんどありません。乳癌治療に使用する主な抗がん剤には、トポイソメラーゼ阻害薬やアルキル化薬・白金錯体(はっきんさくたい)などがあります。個人差はありますが、副作用は、主に吐き気や嘔吐・脱毛・貧血・しびれなどです。

3-3.漢方薬で体力や回復力を高めることも!

乳癌の漢方治療は、患者さんの体力や抵抗力・回復力を高めて、不快な自覚症状を改善することを主な目的としています。体力や食欲の状態・自覚症状・癌の進行状況や治療方針により漢方薬の処方内容を決めることが通常です。乳癌治療のための漢方薬としては「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「八味地黄丸(はちみじおうがん)」などがあります。

乳癌予防のためのポイント

乳癌を経験した人が家族にいる場合や再発を防止するために、普段から心がけるべきことにはどのようなものがあるのでしょうか? 乳癌を予防するためのポイントをご紹介します。

4-1.乳癌予防に効果的な食事を!

健康維持のためには、バランスのよい食事を欠かすことができません。乳癌の予防も、食事によって行うことも可能です。乳癌を予防するためには、活性酸素の影響を防ぐ食材、女性ホルモンと同じような働きをする食材が効果的。にんじんやカボチャ・キャベツ・ブロッコリー・玄米などがあります。また、大豆製品に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをするため、豆腐や豆乳・納豆などをバランスよく取り入れるようにしましょう。

4-2.適度な運動も乳癌の予防に!

乳癌を予防するためには、適度な運動も必要です。乳癌は、女性の体内で作られるエストロゲンが増えると発症率が高まります。肥満傾向の女性はこのエストロゲンが高くなるため、適度な運動で肥満を防止することが大切なのです。通勤を電車から徒歩に変えたり、エスカレーターではなく階段を使ったりするだけでも効果があります。

4-3.この機会に禁煙を!

タバコには大量の発癌性物質が含まれています。実際に、喫煙者の乳癌による死亡リスクはとても高いのです。本気で乳癌を予防したいと考えているなら、まずは禁煙をしてください。

乳癌治療で有名な病院紹介

乳癌というと婦人科を受診するというイメージを持っている方も多いと思いますが、実際には乳腺外科が主体となって治療を行っています。ここでは、乳癌治療で有名な病院をいくつかご紹介しましょう。

がん研有明病院
従来分かれていた『乳腺外科』と『化学療法科』が『乳腺センター』として一つになり、乳癌をはじめとするさまざまな病気の診断と治療に当たっています。ほかの病院で治療を行っている患者さんに対してはセカンド・オピニオン外来を設け、現在行っている治療や診断に関して相談に応じているのが特徴です。

聖路加国際病院
乳癌の手術数800件を超える実績ある病院です。放射線科や病理診断科と協力し、徹底した術前診断を行っています。癌の性質をより詳細に把握するため、実際に組織を採取して病変の確定診断を行っているのも特徴です。

国立がん研究センター中央病院
乳癌疑いに対する診断や治療に対して、乳腺外科・乳腺内科・放射線科・病理・形成外科など多くの科の医師と看護部門、薬剤部などが協力して、最新医療を提供しています。

乳癌の関連書籍紹介

乳癌に関する書籍をご紹介します。

乳がんと診断されたらすぐに読みたい本
自らの乳癌治療体験を生かして書かれた1冊です。乳癌の治療や抗癌・剤リハビリ・脱毛・お金・仕事・子育てなど、乳癌患者が知りたいことすべてがまとめられています。

乳がん-納得のいく治療を選ぶために
専門家による手術・薬・放射線など治療の最新情報を中心に、検査や診断・生活の悩み・再発などについての基本情報がまとめられた1冊です。治療選択のガイドとして役立つでしょう。

モデル、40歳。乳がん1年生
モデルであり一児の母でもあるMAIKOが、乳癌と診断され、病気に立ち向かう様子がつづられています。家族や友人がどのように支えたか…必見です!

乳癌治療体験ブログの紹介

乳癌の治療体験ブログをご紹介します。

トトロの転移乳がん闘病記
乳癌の手術後、再発転移治療の詳しい経過がつづられています。1人暮らしでも治療と仕事を頑張っている様子は必見です!

りかこの乳がん体験記
30代で見つかった胸のしこりが「良性」と診断され、4年8か月放置した結果「悪性」と言われた筆者の闘病ブログです。

46歳働く母ちゃん、乳癌になる!
仕事と家庭に一生懸命だった筆者が、46歳で乳癌と診断され、前向きに生きている様子がつづられています。生活の質を落とさないために、抗癌剤やホルモン療法・放射線治療をしない選択に注目です!

乳がんに関するよくある質問

乳癌と診断された人、乳癌が疑わしい人が感じるであろう疑問とその回答をまとめてみました。

Q.両方の乳房に痛みがあります。乳癌である可能性はあるでしょうか?

炎症性乳癌では、乳房全体が赤く腫れ、熱感と痛みを伴うことも。しかし、多くの場合、乳癌自体の症状として痛みはありません。乳癌が進行して大きなしこりになっても痛みを感じないことがほとんどです。ただし、乳癌が見つかった人の中には、痛みで病院を受診したという人もいます。気になるようなら病院を受診した方がよいでしょう。

Q.しこりのない乳癌もありますか?

通常乳癌のしこりとは、1cm以上のものを指すことが多いのです。そのため、「しこりがない」というより「触れても分からないくらいの小さな癌」があることも。この場合、乳頭から透明または血液の交じった液体が出てきて気づくことが多くなっています。

Q.乳癌の検査を受けるためにはいくらかかりますか?

自治体によって異なりますが、2年に1回の乳癌検診とその費用の補助をする市町村が増えています。専門病院やクリニックで検査を受ける場合は、視診と触診・マンモグラフィで5,000~10,000円前後が平均的な料金です。

Q.検査で「要精査」と言われました。乳癌と考えてよいのでしょうか?

実際に乳癌と診断されるのは、要精査と指摘された人のごく一部です。ほとんどの人は、精査の結果「問題ない」と診断されます。また、微妙な病変の場合には経過を追って判断することもあるでしょう。

Q.乳癌の再発リスクはどのくらいですか?

乳癌の再発率は、乳房温存術後に放射線治療を行った場合で、術後1年が0.5%、術後10年で5%と報告されています。治療した側の乳房に再発がないかを確認する定期健診は、術後5年間は3~6か月ごと、その後は6か月~1年ごとに行うようにしましょう。手術をしていない側の乳房についても、年1回の検診を欠かさず行ってください。

まとめ

いかがでしたか? 乳癌の症状や原因・治療法についてまとめました。乳癌患者が急増している今の時代だからこそ、その病気について知っておくべきことはたくさんあるはずです。ぜひ、この記事を参考にして、乳癌対策に取り組んでください。

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